早稲田大学特任教授が射抜くワイド1点

[2013年9月8日]

【セントウルS】休養明け58キロでも3着ははずすまい

建築史の古老の大家から競馬の思い出にまつわる便りをいただいた。彼の知人のなかに競馬だけで数年間も生計を立てていたという人物が2人いたという。 


A氏は、その日の番組から1レースだけを選び、ひたすら成績のデータだけを克明に調べる。自分なりに走破タイムを算出して、勝負になりそうな2、3頭を選び、直前の馬格や気配から1頭を狙って単勝を買うという。ほかのレースには手を出さない。


B氏は徹底した血統主義者。成績だけを見れば似たり寄ったりでも、最後に勝負根性を出して少しでも抜け出すのは血筋のなせる技。この人も1日1レースしか買わないらしい。かの大障害のグランドナショナルにも一緒に行ったが、B氏はこのレースを見ていただけでまったく賭けなかったという。


居酒屋「青夷」の常連なら、A氏はデータ派の口撃機関銃のヤマだが、馬券で喰えるほど当たっているはずがない。毎週のごとく反省会がしきり。B氏は常連にはいないが、種牡馬のことなら誰でもわかる。問題は牝系にどれほど詳しいかということ。血統評論では日本トップクラスの吉澤譲治とはときどき飲むが、ついぞ馬券で儲かっているという話は聞いたことがない。


データにしろ血統にしろ、馬券検討は総合力だが、なかなか当たらない。だが、A氏B氏に共通するのは、レースをしぼり馬1頭に狙いを定めるところだ。たしかに、わが競馬歴40年でも、自信のある馬の単複で勝負したときなら、的中の確率は高く、かなり儲かっているはずだ。


ところが、それがなかなかできない。賭けて胸をときめかす楽しみがあり、高配当を狙って馬連のみならず馬単、3連単に手を出してしまう。そういうわけでなかなか禁欲のギャンブラーにはなれない。植木等よろしく「わかっちゃいるけど止められない」のだ。


そんなことを考えながらセントウルSの出馬表をながめていたら、反省会でデータ派のヤマが(10)モグモグパクパクと弁解する顔が浮かんできた。王者(9)ロードカナロアは休養明け58キロでも3着ははずすまい。


京成杯AHは中山コースに良績のある⑩ルナと⑫ドリームバスケットを狙う。

セントウルS
(9)-(10) ワイド1点で勝負する
(9)(10)の2頭軸に(4)(5)(12)(13)の4頭をからめて3連単マルチ24点で遊ぶ

京成杯AH
(10)-(12) ワイド1点で勝負する

【by本村凌二】
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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
元東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。
現在は早稲田大学特任教授。
放送大学客員教授。専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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