早稲田大学特任教授が射抜くワイド1点

[2014年1月26日]

【AJCC】美学を捨てて起死回生に賭ける

今年になって馬券を買ったのは11レース。そのうち1レースしか当たっていないから、もはや桃色吐息の絶不調。かつて「お前は馬券の美学にこだわりすぎる」と年長者2人から忠告されたことがある。彼らは万馬券を狙って数十点は買うのだから、1点買いを基本とする者が偏屈な奴に見えるのだろう。

1人はこの世を去り、もう1人は足が弱って杖をつく方々だが、たまには彼らの警告に従ってみようという気になった。そこでしばらくワイド3点ボックスぐらいで勝負してみる。

居酒屋「青夷」の暖簾をくぐると、めずらしく口撃機関銃のヤマが両サイドから集中砲火をあびている。どうやら「これは秘密だよ」と言っておいたのに、すぐに他人にもらしてしまうらしい。「俺って秘密だと言われても2時間しか我慢できないです」と言い訳するのだから、始末におえない。

こんな御喋り屋さんには「ところで、今週の秘密の馬はどれ」と聞けば、すぐに打ち明けてくれるはず。「重賞実績と中山実績が必須だから、幻のダービー馬⑭レッドレイヴンが本命で、穴に牝馬⑧マイネオーチャードが狙いですよ」と大声で漏らすから、さすがと言うしかない。でも

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
元東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。
現在は早稲田大学特任教授。
放送大学客員教授。専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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