東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2020年11月28日]

【ジャパンカップ】ひたすら無事に…。そして馬券は!?

1981年の第1回JCを観戦した者は誰もが衝撃を受けたはずだ。日本の一流馬が欧米の二流馬に軽くひねられて惨敗したのだから、先々を思うと暗澹たる気分だった。ところが、十数年が経ち90年代後半になると欧米の一流馬でも勝てなくなり、21世紀に入ると入着することすらほとんどできなくなった。昨年は外国馬の参戦すらなくなってしまったのだ。要するに、来日しても勝つ見込みがないからである。

私のような高齢者には、第40回JCは空前絶後の大レースであり、日本競馬の集大成ともいえる。よくぞここまで来たというのが偽らざる実感である。

さて、居酒屋「青夷」の競馬常連組は、競馬歴が長いから、今年のJCには感慨深いものがある。ギャンブル狂師ミノ先生なんぞは「生きてて良かった」ともらしているから、私も同感である。ここは同期の牡馬をも退けてきた実績から、素直にG1を8勝②アーモンドアイの頭は固定で、2着に無敗3冠牝馬⑤デアリングタクトと無敗3冠牡馬⑥コントレイルを置き、3着に菊花賞で好走した有力馬4頭を付けるという。馬券はともかく全馬が無事で走ってくれることを祈るとは、本物の競馬ファンである。

穴党専科のマスターも、今まで戦ってきたレースのレベルが違うという②アーモンドアイの強さを素直に評価するらしい。⑥コントレイルは最強古馬と同斤量なのが辛いから、その底力を認めつつ、やや評価を下げるという。いずれにしろ、この3頭をJCに参戦させる馬主・調教師に感謝し、競馬史に燦然と輝くレースを期待するというから、これも本物の競馬ファンである。

口撃機関銃ヤマも「最初で最後の世紀の対決」に興奮気味ながら、3強に敬意を払いつつ、伏兵を探すという。昨年の香港G1の2400m戦覇者⑮グローリーヴェイズを狙うらしい。もちろん相手は3強であり、ちょっぴり未練の①カレンブーケドールをおさえて、馬連・3連複・3連単で勝負するという。マンハッタンカフェ応援団長の熟女馬券師ワフさんは、あいかわらず母父マンカフェの⑨トーラスジェミニの大逃げに賭けてみるらしい。

さて、私はといえば、勝ってほしいのは⑥コントレイルにほかならない。なにしろ2歳のときから3冠馬の器と惚れこんでいたのだ。夢を無敗で実現してくれたのだから、もうこれ以上願うのは忍びない。ひたすら無事に走ってもらいたいと思うだけだ。

馬券としては、3強の一角に食いこみそうな伏兵を狙って川田騎乗の⑮グローリーヴェイズにする。充実の5歳秋をむかえて絶好調の予感がある。相手は3強から斤量・ローテーションとも恵まれた3歳牝馬の⑤デアリングタクトにする。でも、馬券よりもこのレースを同時代に観たことが極上の思い出になることをなによりも願っている。

ジャパンカップ

⑤-⑮ ワイド1点で勝負する

②⑤⑥⑮ 4頭の3連複ボックス4点で遊ぶ


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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