東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2024年5月25日]

【日本ダービー】ますますダービー本番での狙い馬に!

吉祥寺の居酒屋「青夷」の競馬ファンの話題では、今年の3歳馬のレヴェルはかなり高いという評判がある。なかでも3戦無敗の2頭⑫シックスペンスと⑮ジャスティンミラノは甲乙つけがたいものがある。

実のところ、スプリングSを圧勝した⑫を見たとき、これで今年の春のクラシックは決まりだと思った。ところが、皐月賞を回避。どうも歩様が良くなかったらしい。ところで、英作家S・モームの『月と六ペンス』は画家ゴーガンをモデルにしており、シックスペンスは世俗の雑事を意味するという。月は芸術へのあこがれを示唆しており、売れなかった現役画家のゴーガンが思い出されて頼りなくなった。

これに比べて、ゴシック建築の大傑作である大聖堂のあるミラノは豪華な趣がある。やはり、ダービーは華やかさがふさわしい。ここは迷いも吹っ切れそうである。

無敗の2頭は強いが伏兵陣も多彩で群雄割拠の様相。口撃機関銃ヤマさんは、お家の事情(ふところ寒し?)で穴狙いでいくらしい。昨秋のサウジRCの末脚が忘れられないし、NHKマイルも見どころ充分だった⑭ゴンバデカーブースを狙うという。相手本線は本命⑮ジャスティンミラノと人気薄④ビザンチンドリームで馬連3頭ボックスが勝負馬券とか。あとは数頭をからめて馬連・3連複でいくらしい。

ギャンブル狂師ミノ先生は、スプリングSの勝ちっぷりから⑫シックスペンスを狙うという。六枠で勝ちは確定だから、3連単⑫-⑮-3着総流しで大枚ゲットを期待するらしい。穴党専科のマスター・ジュンは、跳びが大きい⑧アーバンシックは東京コースで最高のパフォーマンスができると見なし、単複で狙うらしい。

ところで、皐月賞の日、私は狙ったビザンチンドリームの単複と本命馬レガレイラとのワイド1点を買ってテレビ観戦した。ところが、ビザンチンは半端じゃない5馬身ほどの出遅れ、3コーナーから馬群をぬって抜け出そうとしたところ他馬と接触してあわや落馬の場面があった。あれで、よく最下位にならずに済んだもんだ。まったく競馬をしていないという印象だった。これで人気が下がるから、ますますダービー本番での狙い馬に!多少の出遅れがあっても、広く長い直線の東京コースなら、④ビザンチンドリームは33秒台の末脚で抜け出してくるはずだ。あとはゴール前で⑮ジャスティンミラノとのたたき合いが見もの!


日本ダービー
④-⑮ ワイド1点で勝負する
④-⑮ 2頭軸の3連複総流し15点で遊ぶ


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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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