うまスクエア

第188回［2013年3月1日］　最新号は毎週金・土曜日の20時にメルマガ配信。

【オーシャンＳ】悲喜こもごも

【美浦の『聞き屋』の囁き】

●悲喜こもごも、オーシャンＳ●

先週行われた阪急杯は圧倒的１番人気のロードカナロアが圧倒的な力を示して快勝。その阪急杯を賞金不足のため除外された馬が多数回ってきたのが今週のオーシャンＳ。エーシンホワイティ、サドンストーム、セイクレットレーヴ、ニシノビークイックがそれにあたる。

しかし、セイクレットレーヴは水曜日の時点ではまたしても除外候補。補欠の１番手だったため、なにかが回避すれば繰り上がるという立場だった。そんな中、生粋のスプリンターたちの中でも主導権争いで注目されていたのが、ハクサンムーンとエバーローズ。共に現役屈指の快速馬で、この２頭の出方次第で大きく展開が変わることが予想されていた。

ところが、水曜日の追い切り後エバーローズが、まさかの故障発生。即座に引退を表明。これでハクサンムーンの単騎逃げが濃厚となり、予想スタンスも当初とは大きく異なることに。そして、エバーローズの「非」があったため、セイクレットレーヴの繰り上がり「喜」が決まった。

また、「非」という意味では騎乗停止となったアドマイヤセプターに騎乗予定だった福永騎手、ハクサンムーンに騎乗予定だった酒井騎手。この有力馬が回ってきて「喜」なのが、昨年のアイビスＳＤ以来のコンビとなる石橋脩騎手、６年振りに来日するバルジュ騎手。特にバルジュ騎手は前回までは美浦所属だったが、今回は栗東所属に。

当初は阪神での騎乗を予定していたようだが、久々の来日初日ということで騎乗予定馬が少なかったため、福永騎手の騎乗停止を受けて、急きょ中山へ予定を切り替えたらしい。つまり、土曜日のバルジュ騎手の騎乗馬は福永騎手で予定していた馬と考えてよさそうだ。この「悲喜」こもごもな裏事情を生かして、是非「喜」を掴みとってほしい。


●まだまだ底を見せていません●

女王ローブティサージュ、新星レッドオーヴァルの２強対決が注目されているチューリップ賞。

しかし、忘れてもらいたくない馬が１頭。唯一の関東馬、アユサン。前走は完敗だが、負けた言い訳はたくさんあり情状酌量の余地は十分にあるはず。この中間、一頓挫があったため当初の青写真だったクイーンＣは回避したが、ごく軽度なものだったし、先週は小倉滞在中の丸山騎手が駆けつけて１週前追い切りを敢行。

追い切りの感触を取材したところ「間違いなくトップクラス」とその評価はデビュー前から変わらずに高い。この後は栗東に滞在して桜花賞を迎える予定なので厩務員さんは大荷物をまとめて移動予定。それはもちろん、３着以内に与えられる優先出走権を獲るつもりだから。もちろん、陣営が３着以上を狙っていることは言うまでもないだろう。


【関西事情通チョッといい話】

●先週に続き『逃げ馬』参上!?●

先週取り上げた中山記念のシルポート。現代競馬に逆らう様に昔ながらの競馬を演出してくれる、とにかく楽しませてくれる西園厩舎。その先週は特有の「泣き」。昨年２着の舞台ながら「昨年はメンバーに恵まれてた。今年は揃ってるし…」「年齢もひとつ重ねて上積みも乏しいし…」「１８００ｍと言ってもコーナー４つ、ワンターンの方がいいタイプやし…」「厳しいんとちゃう」とあからさまな泣きのオンパレード。そして結果もアワヤの３着と走るのだから、ある意味有言実行？

そんな西園厩舎、今週も中山へ『逃げ馬』ハクサンムーンを出走させる。「もしやまた泣くのでは…」と期待していたところ、なんと今回は「強気」なコメントのオンパレード。２走前は執拗に絡まれて失速したが、自分のリズムで競馬出来れば、前走の様に強い競馬が見せられるという事の様だ。さらに、中山での実績もあることはもちろん、阪神コースでも良績がある様に逃げ馬にしては坂のあるコースを得意としている。要はスピードだけではなくパワーも持ち合わせていると言う事だ。

主戦の酒井学騎手が騎乗停止中で乗れないが、前走後はここ目標にしっかり調整してきた。今週の最終追い切りは坂路で終い重点で目立たなかったが、先週は馬場の悪い時間帯に、馬場のいい時間帯に追ったロードカナロアと同タイムをマーク。馬房の中で旋回する癖についても今回は対策を練って臨むそう。さらに、同型でしかも鞍上に中舘騎手が予定されていたエバーローズが回避したこともあり、ますますトーンは上がっているようだ。

『逃げ馬』なのに「泣き」が無いが、泣かなくても勝てると言う事なのか、その逃げっぷりは注目してみたい。