第870回&第871回
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【関西事情通のちょっとイイ?話】
●彼のメイン・イベントは…●
今週の重賞は函館競馬場で開催される函館記念のみ。ゆえに、例えば蛯名騎手や福永騎手のように、普段は福島・中京を主戦場としているジョッキーも函館まで遠征してきている。
そんな中、主戦場は函館ながらこの日曜には逆遠征しているジョッキーが存在する。
今期の函館で開催リーディングトップをひた走っている
藤岡佑介騎手だ。
土曜は最終レースまで騎乗していながら、日曜は重賞の無い中京で騎乗する。
しかも、函館で乗っていれば、メインのステイフーリッシュはもちろん、前走自らの手で勝たせたリワードアンヴァルも、もう一丁いけるクチでかなりいいラインナップが期待できたはず。にも関わらず中京で騎乗、その理由とは…
実はかなり早い段階でこの日は中京で乗る事が決まっていた。それこそステイフーリッシュが鳴尾記念のあとに函館記念出走を決める前の、早々に予定が決まっていた。その馬とは…
メインの
名鉄杯に出走する
スマハマだ。
3歳時、出世レースのヒヤシンスSを圧勝し、続く青竜Sではグリムの2着、因みに3着はオメガパヒュームなのだから、この馬の能力が重賞級である事は容易に想像できる。
残念ながらその後骨折してしまい長期戦線離脱していたものの、復帰初戦のGⅡ東海S
でいきなり3着、ここでやはり重賞級であることを証明した。
その後、再び間が空く事にはなったが、同じ休み明けでも中間はしっかり乗り込み状態としては前走よりも良い。
もちろん、この先も期待十分の1頭、藤岡佑介騎手が手放したくないと感じるのも頷けるだろう。
オープン馬とは言え賞金的にはかなり低く、今後大きいところを目指すためにもここはなんとしても賞金加算させたいところ。鞍上もその事を良く分かっているはずだ。
キッチリ勝つ様ならば、秋の重賞戦線で台風の目になるかも知れない。そんな可能性も感じてしまう馬であり、鞍上の行動でもある。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●ベテランのアピール●
ルメール騎手は先週の競馬終了後に、母国フランスへと一時帰国。
働き方改革と言いながらも、日本人には積極的に実践できていない夏休みのために今週の競馬は休み。
函館リーディング争いからは脱落しているが、得意の札幌競馬に向けてと、全国リーディング連覇のために英気を養ってくることは間違いなく、来週から巻き返しに必死になるかもしれない。
トップジョッキー不在の
函館記念は荒れそうな雰囲気。
横山武&斎藤の若手騎手に加えて、蛯名&田中勝の大ベテランが参戦。
特に、
蛯名騎手と
田中勝騎手は年々勝ち星が減少しており、日曜日はともに函館記念のみの騎乗。
勝ち星が減っているとはいえ、有力馬に乗った時の勝利率・連対率は悪くはない。
つまり、騎乗馬に恵まれていないだけで、技術に衰えはないということ。
重賞制覇によって健在ぶりをしっかりとアピールしておきたいところだろう。
一鞍入魂の騎乗は見逃せない。
【競馬場から見た推奨馬券】
アテにはならないが、福島は夜半から午前中にかけて雨予報。
いずれにしろ、芝はすでに荒れてしまっているし、ダートも脚抜きの良い状態は変わらないだろう。
元々が難しい福島競馬。あまり気を入れずに、当たったら儲けものぐらいの軽い気持ちで、競馬を楽しみましょう。
福島7Rは、15番
ランドルーラーで軸は大丈夫。
デビュー当時から馬っぷりの良さが目立っていた馬だが、幾らか馬体が立派過ぎる点と気性の激しさがネックで、力を出し切れていなかった。
放牧明けの前走も、まだ馬体は緩かったが、パドックではだいぶ幼さは抜けてきた
印象を得た。距離短縮も良かったようで、初めて本気で走った感じ。
それでもまだ道中は引っ掛かる場面があり、今回、更に距離が短くなることは好材料と見てとれる。
出脚が良くないだけに、外伸びで捲りの利く馬場になってきた点も好材料。
緩めだった馬体も叩かれて、締まってくることは間違いないだろう。
単勝 15
馬連 1-15 9-15 8-15
自信度 B
馬券的に面白そうなのは、
福島8Rの
ワイルドフォックス。
関西からの転厩馬で久々の実戦。スピード、能力はかなりのものがありそうだが、とにかく気性が荒過ぎて、前厩舎では調教し切れなかったとのこと。そんな状態でも、再三現級で差のないレースを演じており、能力は間違いなく高い。
その馬が去勢されて、じっくり立て直された。調教もダートコースで長めをじっくり
乗り込まれており、仕上がりも良さそう。
気性さえ良くなれば、馬っぷりからはもっと上を目指せそうな馬。
競馬に行ってどうなるかはアテにならないが、もし気性難が緩和されているようなら、あっさりがあってもおかしくない。
単勝 10
馬連 2-10 10-16 6-10
3連複 10の1頭軸 2.6.14.16に流す
自信度 C
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●荒れる福島は健在●
関東リーディング3位の田辺騎手が先週の競馬で2週間の騎乗停止となり、また、関東リーディング4位の石橋騎手が昨年の落馬で負傷した際に足首に入れたボルトを抜く手術のため、ともに今週と来週の2週間戦線から離脱。
これによって福島競馬の有力馬の多くが関東リーディング1位の
戸崎騎手と2位の
三浦騎手に集中。
熾烈となっているのが夏の福島競馬のリーディング争い。
先週までの時点で戸崎騎手が7勝、三浦騎手が6勝、田辺騎手と石橋騎手が5勝と続いていたので、ほぼ一騎打ちの様相となった。
今週は戸崎騎手が22鞍、三浦騎手が20鞍と、ともに勝ち星を量産できる態勢は整っている。
週末の雨予報で悪化する馬場をどう読みきるかがポイントになりそうだ。
日曜日の福島には函館から
松岡騎手が参戦。
お目当ては
3レースの2歳未勝利戦に出走する
ウイングレイテスト。
新馬戦の時もこの馬のために函館から東京へと戻ってきたぐらいで、期待の大きさはかなりのもの。
その新馬戦は取りこぼす形の2着ではあったが、切れ味がそがれる重馬場で内枠と先行馬有利な馬場状態の中、11番人気の伏兵に残られたのは仕方がない面はあった。
今回こそは、と陣営と騎手ともに意気込んでおり、負けられない1戦となりそう。
他に目立っているのは、
木幡巧&木幡育の兄弟ジョッキーが穴を連発しており見逃せないところ。
今週も福島は荒れそうな予感が漂っている。
【関西事情通のちょっとイイ?話】
●函館のメイン・イベント●
まだまだ全国的に梅雨空ながら夏競馬は真っ只中。今週は函館競馬場で、函館開催中のメイン・イベントとも言える
函館記念が行われる。
そういう意味もあり、例えば蛯名騎手や福永騎手のように、普段は福島・中京を主戦場としているジョッキーも参戦してきている。
そんな中でまず注目の騎手は、
ステイフーリッシュの手綱を取る
中谷騎手。新馬戦では自ら手綱を取り勝利を挙げ、2戦目のGIホープフルSでも3着と好走。クラシック戦線でも主戦を担うかと思われたが、4月8日の福島で落馬、頚椎骨折などの重症を負い長期戦線離脱を余儀なくされてしまった。
その後、ステイフーリッシュは代打騎乗の藤岡佑介騎手の手により京都新聞杯を制し、その縁もあって藤岡佑介騎手がほぼ主戦を務めてきた。
今回は、その藤岡佑介騎手に先約があり騎乗機会が巡ってきた。自らに取っても初重賞制覇のチャンスでもあり、当然力の入るレースとなるだろう。
話題性と言う意味では、今年デビューの新人、
斉藤新騎手の初重賞挑戦も注目されている。騎乗するのは、父の斉藤誠師が管理する
ブラックバゴ。先週菊沢親子が重賞制覇を成し遂げた流れもあり、より注目されそうだ。
初重賞挑戦でしかもこの日が初めての函館での騎乗、さすがに厳しい戦いにはなるだろうが話題的には注目と言える。
そんな中だが、最も注目したい関西ジョッキーは…
何故か函館で騎乗している
幸騎手だ。
幸騎手の函館遠征と言えば、一昨年の函館スプリントSにセイウンコウセイで遠征、その前は2008年まで遡るが、デビューしてから四半世紀、過去函館で騎乗したのはその2日だけ。幸騎手が函館で騎乗するというのはそれほど稀な出来事になる。
この函館記念で騎乗するのは関東伊藤圭三厩舎の管理馬
ゴールドギア。関東馬であることに加え初騎乗、チャンスが無い馬ではないが、この馬のために遠征してきたとは思えないところ。実際、ゴールドギアは先週の五稜郭Sを1頭だけ除外となってしまい、1週スライドしての急遽の出走で予定の行動ではない。では何故…
理由は、ひとつ前の
10Rに出走している
ラクローチェのためだ。
デビューは今年の4月20日と遅れたが、既走馬相手に快勝、2戦目では敗れたものの3戦目の東京自己条件で素質馬相手に見事2勝目を上げ、必然的に秋の最大目標は菊花賞となる。
前走乗れなかった幸騎手、もしここで騎乗せず勝たれてしまうと、もう自分の手には戻って来ないだろう。そういう思いもあったはず。それがゆえの遠征でもあり、もちろんキッチリ結果を残し、しっかりと自分のお手馬としておきたいところ。
ここを勝っておけば、ひとまず菊花賞戦線には間違い無く乗れる一戦。前述通り、ここまでのキャリアで2日しか騎乗したことの無い函館だが、JRA10競馬場で唯一勝利の無い開催場でもあり、そういう意味でも注目と言えそうだ。
メイン・イベント直前のレースだが、幸騎手にしてみればここがメイン・イベントになるだろう。