第897回&第898回
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【関西事情通のちょっとイイ?話】
●既成勢力よりも新興勢力●
桜花賞馬・オークス馬不在の
秋華賞。唯一のGI馬であるダノンファンタジーが、トライアルのローズSを快勝したことで恐らく1番人気に推されることだろう。
もちろん、勝つ可能性のある1頭に間違い無いのだが、今年の秋華賞は、春の2冠の勝ち馬が居ないのならば、既成勢力より新興勢力に注目してみたい。
7月の中京以来のぶっつけとはなるものの、5戦3勝で連勝中の
エスポワール。そのレース振りの見た目のインパクトも注目だが、鞍上が決まる過程を考えても注目と言える。
そもそも、その3勝全て手綱を取っていたのはミルコ。ただミルコにはオークス馬ラヴズオンリーユーの存在があり、早い段階でシュタルケに打診があった。もう何回も来日しているだけあって日本の競馬を良く知るシュタルケ、GIでチャンスのある馬に乗れるとあって、今年の残りの短期免許期間をここに合わせて来日を決めた。
実際、両方の手綱を取っていたミルコにしても、片やGI馬で片やまだ条件馬、実績的には雲泥の差ではあるが、どちらが上なのか評価できないというほど、エスポワールにも素質を感じていた。この馬のために来日するとしても、十分理解できる存在だろう。
しかし、その後ラヴズオンリーユーの回避が決まりミルコが宙に浮いた。ここで普通なら乗り替わりがあってもおかしくないのだが、オーナーと調教師サイドの意向で、来日が決まっているシュタルケをそのまま起用することで落ち着いた。
前記通り、日本の競馬を良く知るシュタルケは、ミルコが空いた時点では乗り替わりを覚悟していたそうだ。ゆえに、替わらず乗せて貰えることへの感謝の気持ちは当然大きい。
1週前追い切りでエスポワールの手綱を取り「集中力を欠くところはあるもののかなりの能力を感じた」と話し、来日初週の先週は2勝を上げまずまずの滑り出し。
また、馬場悪化は濃厚で、道悪好走実績のあるエスポワールにとっては追い風が吹いていると言えるだろう。
まだ日本でのGI勝利は無いシュタルケだが、地元ドイツではダービー7勝、それ以上に凱旋門賞を勝利しているジョッキー。日本でのGI制覇は時間の問題と言える。
次週の菊花賞、そしてその翌週の天皇賞では今のところ騎乗予定が無く、今回の来日ではここが最大のチャンス。
前述通りオーナーサイド・調教師サイドへの感謝の気持ちとともに、自らの日本でのGI制覇へ向け、ここ一発の騎乗が見られそうだ。
エスポワールと鞍上のシュタルケ、注目してみたい。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●秋華賞のあれこれ、その2●
フローラSは5着、オークスでは16着、と春は歯が立たなかった
フェアリーポルカだが、ひと夏を越して迎えた紫苑ではオークス2着のカレンブーケドールに先着する好内容の競馬で
秋華賞の優先権を獲得。
ただ、この時点で手綱を取った三浦騎手は秋華賞当日の東京で予定を組んでおり、メインレースのオクトーバーSでは有力候補に騎乗予定だった。
その有力馬を断るのはオーナー、調教師を考えると難しいということで、1度はフェアリーポルカの秋華賞での依頼を断ったようだが、紫苑Sの走りからどうしても乗りたいと気持ちが傾いて、直談判でその有力馬を断りに行ったところ、揉めることなく断ることができてフェアリーポルカとのコンビ継続となった、とのこと。
関東リーディング2位、自己最多の91勝を超えるペースで勝ち星を重ねており、今年は好調そのもの。
いい時はすべてがいい方向へと回るのかもしれない。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●秋華賞のあれこれ●
桜花賞馬グランアレグリアとオークス馬ラヴズオンリーユーを欠くこととなった
秋華賞。
どの陣営も色気あり、といった感じで混戦ムード。
ここで注目したいのは、新興勢力組の
パッシングスルーと
サトノダムゼル。
パッシングスルーの鞍上は
戸崎騎手、サトノダムゼルの騎手は
デムーロ騎手。
一見すると、前走と同じままのコンビ継続なのでなにもないように見えるが、実は色々とあったのだ。
どういうことかというと、戸崎騎手は紫苑Sではパッシングスルー、ローズSではウィクトーリアに騎乗。
結果はパッシングスルーは1着、ウィクトーリアは3着。
この結果を踏まえて戸崎騎手が選んだのがウィクトーリア。
すぐに鞍上を確保したかったパッシングスルー陣営が選んだのがデムーロ騎手。
その後、サトノダムゼルが勝ち上がり秋華賞での騎乗依頼を打診したが、パッシングスルーをすでに受けていたデムーロ騎手は当然断るしかなく、サトノダムゼルは出否も含めて未定となった。
そして、すでにご存知のとおり、ウィクトーリアが故障してそのまま引退。
秋華賞での騎乗馬がなくなった戸崎騎手だが、ウィクトーリアとパッシングスルーがともにノーザンファーム主導の依頼だったので、なんの問題もなかったかのようにパッシングスルーが戸崎騎手のもとへ。
もっともアオリを受けたデムーロ騎手はすぐさまサトノダムゼルへ騎乗を志願。
出否未定だったこともあり、まだ鞍上が決まっていなかったので、こちらも問題なくデムーロ騎手のもとへと戻ってくることとなった。
馬の故障という不測の事態で仕方のないことではあるが、玉突き的に鞍上が変わって、その結果がなにもなかったように収まった不思議な乗り替わりがあった。
戸崎騎手が最初に選んだのはウィクトーリアだった、これは覚えておいてもいいかもしれない。