第911回&第912回
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【美浦の『聞き屋』の囁き】
●今週で帰国予定となったデットーリ騎手●
3歳王者クリソベリル対古馬といった図式になった今年の
チャンピオンズC。
現3歳世代は秋に入っての古馬との戦いで劣勢な状況だけに、ここで一矢報いることができるか、また、川田騎手もGⅠで人気馬に騎乗しながら勝ち切れない競馬が続いているので、クリソベリルと川田騎手とのコンビにかかる期待はより大きいものとなりそう。
古馬勢では
オメガパフュームと
デットーリ騎手のコンビに注目が集まっている。
主戦のデムーロ騎手が降ろされてデットーリ騎手へと乗り替わっているわけだが、オーナーの希望はデムーロ騎手での続戦だったとのこと。
ところが、デットーリ騎手の身元引き受けオーナーである吉田照哉氏が、デットーリ騎手への乗り替わりを強く希望。オメガパフュームは社台ファーム生産であり、馬の権利を有しているということもあり、吉田照哉氏の主張が優先されて、乗り替わりが決定。
今年、不振にあえぐデムーロ騎手とすれば、まさに踏んだり蹴ったりな状況。
もう1頭の3歳馬ワイドファラオでどこまで迫ることができるか。厳しい戦いが続く。
大きなチャンスを得たデットーリ騎手は、先日の会見で有馬記念への騎乗意欲を見せていたが、今週末に一転して帰国することに変更。
その理由としては、現時点で有馬記念で有力候補となる騎乗馬が確保できないこと、12月15日が自身の誕生日で帰国して家族と祝いたいこと、などがあり帰国の途につくこととなってしまったのだ。
つまり、日本で見ることができるのは今週が最後かもしれず、次の来日があるかどうかが分からないだけに、デットーリ騎手の手綱さばきは見納めのつもりでいた方がいいかもしれない。
【関西事情通のちょっとイイ?話】
●意外と人気は無いが…●
今年も師走競馬に突入。その師走(12月)に入って最初のGIは、旧ジャパンカップダートの
チャンピオンズC。
招待競走ではなくなったことの影響もあるだろうが、先週のジャパンカップより以前に外国馬の参戦が無い年は多く、今年も残念ながら外国馬の参戦は無かったものの、今年のGI勝ち馬が存在しなかった先週に比べ、今週は今年のGI級勝ち馬5頭を数え、統一ダート王決定戦としての役割は十分に担っている。
割れてはいるものの、前日夕方の前売り1番人気は3歳馬クリソベリル。5戦負けなし、鞍上に川田騎手、昨年も3歳馬ルヴァンスレーヴが圧勝した事で、より過剰に人気になっているようだ。
確かに可能性のある馬だが、昨年のルヴァンスレーヴとは違い相手関係や走破時計にまだGIを勝てるだけの裏付けるものは無い。
余談だが、全兄のクリソライトは、ジャパンダートダービーをクリソベリル以上の7馬身差で圧勝している。その後、JBCをステップにジャパンカップダートに挑戦したが、ブービーの15着に大敗している。馬自身は、その後帝王賞で2着が2回あるだけに能力はGI級のモノはあったが、この時は古馬の超一線級相手に跳ね返されてしまった形。
弟のクリソベリルは、兄よりもふたまわりほど大きい馬体をしており、そんな事は関係なく突き抜けるだけのスケールも感じるが…
2番人気はダート統一GIを5つも勝っているゴールドドリーム、そして帝王賞の勝ち馬オメガパフューム、春のダート王インティと人気は続いているが、このメンバーでも、安定度と言う面では
チュウワウィザードに食指が動く。
デビューからここまで13戦、まだ一度も凡走らしい凡走は無く、どんな展開でも立ち回りの巧さで馬券対象内を外さずに来ている。待望の統一GI制覇となった前走のJBCクラシックも、小回り浦和の特殊コースなゆえに、その立ち回りの巧さで?ぎ取った一戦と言えるだろう。
今回は大箱中京コースも、このコースは1・2コーナーの形態から前半のペースが上がりにくく先行馬有利のレースが多い。
ここも、枠の並び的にインティの武豊騎手がハナを主張した場合、ロンドンタウンやテーオーエナジーは無理に競わずペースは落ち着くだろう。そうなると、やはり立ち回りの巧さが問われる一戦になる。そうなればチュウワウィザードにとっての見せ場。鞍上は、最近インディチャンプやケイティブレイブなど乗り替わって勝たれてしまうことの多い福永騎手だが、中京コースはデビュー勝ちの地でもあり得意コースで、主戦場の京都・阪神よりも勝率・連対率も断然高い。
人気は前述4頭に及んでいないが、そのぶん馬券的な妙味もある。意外と盲点と言える存在のこのチュウワウィザード、注目してみたい。
【競馬場から見た推奨馬券】
中山の芝コースは、多少冬枯れの印象はあるが、内側部分まで生え揃い、良好な状態。むしろ馬場の中程辺りの方が傷んでおり、中山らしく外差しは厳しそう。
ダートは週中の雨の影響もあり、やはり先行有利な速い馬場となっている。
特に内が有利な、芝1600mの
中山4Rが狙い目。
まずは、先行力上位の2番
クリノプレミアムが、絶好枠を引いただけに当確。現在の馬場状態を考えると、上位争いは間違いない。
続いて5番
プリマジア。ここ2戦がかなり強いメンバーにて接戦。特に今週と同じ中山1600mの前々走が好内容だった。出遅れて直線でも捌くのに手間取りながら、0.3秒差の3着。2着馬は次走勝ち上がり、重賞でも4着しており、メンバーレベルも高かった。前走も粒揃いの組み合わせで、外々を回りながらクビ、クビ差の3着。一息入れてスタートが良くなっていれば、あっさりまである好素材だ。
そして穴で狙いたいのが、1番
エフティハヤテ。デビュー戦のパドックで馬っぷりが目立っていた馬だ。多少緩さが残っていた分、走れなかったが、次は良くなるだろうと思っていた。そして今回が文句なしの枠順。
人気になりようがないだけに、馬券的に狙ってみたい。
馬連 2-5
ワイド 1-2 1-5
3連複 1.2.5.7 のボックス
自信度 B
もう一鞍は
中山7R。モマれるのだけが不安だったが、理想的なダート1200の大外を引いた12番
アイオライトが中心。
とにかく、ダート初戦の前走が優秀。後続に10馬身離したことも凄いが、それもほとんど馬なりだったのが驚き。当然、時計も開催の2歳戦で断然の一番時計。それを馬なりでだ。よほどダート適性があったのだろう。
それほどメンバーも骨っぽくなく、ここも無事通過と見る。
単勝 12
馬連 9-12 8-12 4-12
自信度 A
【関西事情通のちょっとイイ?話】
●秋天敗退組にまたも注目馬が…●
いよいよ今週から今年最終開催となる師走の阪神・中山、そして第3場開催の中京に突入、有馬記念ファン投票の第二回中間発表もあり、年の瀬が迫る事を感じる時期になってきた。
その有馬記念は、アーモンドアイこそ出走しないものの、同じ牝馬ながら今年の実績的にはアーモンドアイと同等と言えるリスグラシューなど豪華メンバーが揃う予定。今年のGI馬が居なかった先週のジャパンカップに比べれば、かなりレベルは高くなりそうだ。
ただ、この古馬王道路線(秋の3冠と言われる秋の天皇賞・ジャパンカップ・有馬記念)の中で、最もハイレベルだったのは「やっぱり天皇賞だろう」というのがトレセン内で囁かれている事実。もちろん、アーモンドアイが参戦していた事もあるが、GI馬が10頭も顔を揃えていたのだから頷ける。
そんなハイレベルレースなゆえに、敗れた馬の中に次走以降で注目すべき馬が存在するだろう。先週取り上げたスワーヴリチャードもある意味でそういう存在。
そのスワーヴリチャードから遅れることコンマ4秒、通ったコースも同じ最内から上がり3Fはコンマ1秒速い脚を使い9着だった
ケイアイノーテックは、この時が初めての2000mという課題がある中での結果。注目に値しそうだ。
この秋は毎日王冠から始動し秋の天皇賞に挑戦、本来であれば、マイルのGI馬であることからマイルCSに進むのが普通なのだが、GIでは無くGⅢの
チャレンジCに参戦してきた。この意図は…
もちろん距離も考慮されての事ではあるが、やはり「GIよりも勝てる可能性の高いGⅢを獲りに来た」と考えられる。
実際、マイルCSには、天皇賞2着のダノンプレミアムや安田記念を勝ったインディチャンプ他、天皇賞ほどでは無いにしろ好メンバーが揃っていた。
それに比べここは、GI勝ち馬は自らの1頭のみ、重賞勝ち馬でも自らを含み6頭、さらに今年の重賞勝ち馬は皆無、かなり楽なメンバー構成となっている。それこそ、前走だけ走れば十分勝ち負けになるだろう。
この中間の調教でも好時計を連発、デキ落ちも無さそうだ。
着順は冴えないが、決して力が衰えているワケでは無く、今回のGⅢメンバーなら変わっていいだろう。注目してみたい。
【美浦の『聞き屋』の囁き】
●おいしいGⅡ●
13頭中、オープン馬は7頭だけで残りは3勝クラスか2勝クラスの格下馬たち。
昨年の勝ち馬リッジマン、3着だったモンドインテロ、そしてこのレース3連覇の実績があるアルバート、という同じ顔触れのメンバーに、距離適性がある格下馬だけで勢いのある存在がいないGⅡとしては、稀に見る低調なメンバー構成となった
ステイヤーズS。
どこからでも狙えそうなだけに騎手の腕がより問われる戦いとなりそう。
先週のジャパンカップを制して勢いに乗る
マーフィー騎手、ゴドルフィングループの主戦を務める
ビュイック騎手、長距離でこそ生きるベテランの手腕を持つ
蛯名騎手あたりが有力候補になりそう。
ここまで手薄なメンバーになると、格下も格上も関係なく乗り方ひとつでどうにでもなりそうなほどで、どの陣営も色気があるはず。“おいしい”GⅡを制するのはどの陣営か。約4分間。長い戦いが始まる。
【競馬場から見た推奨馬券】
今週から中山が開幕。2開催開いただけに、芝の回復は間違いない。
当然、内枠の先行型が有利になる。外差しの利く東京のイメージを払拭して、馬券を
検討しなくてはならない。昨年のこの開催は、ダートも時計が速く、ひと昔前のパサパサで力が要求されるイメージはなかった。多分、今年も同じだろう。こちらも基本的には、先行馬狙い。
まずは
中山7R。ここは使い込むより、休ませてフレッシュな状態の方が走る11番
サンジレットが狙い目。得意の中山を待っての万全の態勢と見る。
過去に2回、休み明けでかなり見どころのある競馬をしたので追いかけたが、2回ともに使う度にパフォーマンスが落ちたのを感じた。それだけに、今回は休み明けを狙ってみたい。今回から鞍上も変わるので、その点の上積みにも期待する。
ピリッとした脚がなく、スピードの持続力で勝負するタイプだけに、勝ち切るまではどうかと思う。頭狙いは難しいが、連勝系の馬券なら確率は高いと見る。
馬連 3-11 11-14
3連複 11の1頭軸 相手3.14.15.16
自信度 C
開幕週の芝で狙いたいのは、
中山9Rの4番
グランデマーレ。
新馬戦の勝ち時計は平凡だが、その勝ちっぷりは圧巻。まだどう見ても立派過ぎる体つきにもかかわらず、素軽い行きっぷりを見せ楽々ハナ。道中も、そして最後の直線も遊び遊びという感じながら、突き放して完全に流す楽勝。ちょっとモノが違うという印象を受けた。あれなら、何かを行かして、それに併せる形の方が真剣に走りそうな感じ。それだけに昇級した今回の方が競馬がしやすそう。特に、今回は先行有利な馬場状態だけに、条件も有利。
当然、余裕残りの造りだっただけに、叩かれての上積みも大きいはず。
更には、ステイヤーズSに乗らない藤岡佑が、わざわざ東上してきたのだから、その期待のほどが知れる。
単勝 4
馬連 2-4 4-6 4-8
自信度 B