第931回
採れたて!トレセン情報
関西事情通のちょっとイイ?話
クラシック有力候補よりも狙いたい1頭とは?
日曜日、京都では重賞・
きさらぎ賞が行われる。
第1回は1961年という歴史ある重賞のひとつ。1970年からマイル以上の中距離で行われる様になり、その初年度に2冠馬タニノムーティエを、翌年にも2冠馬となったヒカルイマイを輩出、その名残もあってかクラシックの登龍門的な重賞として永く語られてきた。
ただ近年、サトノダイヤモンドやアサクサキングスなどクラシック勝ち馬を輩出してはいるものの、クラシック候補生の多くが同時期に行われる東京の共同通信杯の方へ出走する傾向もあり、頭数も少なく、また、ここを勝っても、以降なかなか勝てない馬や、ここが最後の重賞勝ちになってしまう馬も多く出てきてしまっている。
今年も頭数は8頭と揃わなかった。ただ出走馬のレベルは例年よりは少し高い様子ではある。
その筆頭格が、1勝馬ながらも重賞2着で賞金的にはオープン馬の
アルジャンナと
サトノゴールドの2頭。ともにクラシック有力候補に挙がってくる可能性は十分ある。
特にアルジャンナは、前走が完敗とは言え相手がホープフルSを楽勝し、現時点で同世代NO1の存在と言えるコントレイル、それを考えれば、今回のメンバーなら負けられないところ。管理する池江師も、「クラシックを見据えるならここで負けてはいられない」と期待は大きい。但し、その前に「今の京都の馬場はディープ(ディープインパクト)産駒には合わないかも…」という布石も打っている。
要は、クラシックで勝ち負けを狙える素質がある馬で、それを実現するならば、ここでは負けていられない。ただ、今の京都の馬場では分からないところがある…と一抹の不安を抱えているという事。
サトノゴールドの方も、実は当初は次週の共同通信杯を予定していたのだが、1週前倒しで使うことになった経緯がある。昨夏の札幌以来のレースなだけに、これもまた分からないところあると言っていいだろう。
上位陣に付け入るスキがありそうな雰囲気。
ならば注目してみたいのは…
新馬戦を勝っただけの実績だが、
トゥルーヴィルに注目してみたい。
その新馬戦、今回と同じ京都外回り芝1800mの舞台。勝ち時計は1分53秒3と目立つものは無いが、その勝ち方には目を見張るものがあった。
勝負処の4コーナー手前で、内を突いて抜け出しを図ったところ締められてしまい、直線で外に切り返すロスのある競馬。新馬戦特有のスローの上がり勝負、レースの上がり3Fは34秒1、しかもゴールに向けて12.1-11.1-11.0と速くなって行く加速ラップなだけに、このロスは致命的だったはず。それを見事に差し切ってしまったあたり、この馬の非凡な素質と能力を垣間見せたと言っていいはずだ。
当時手綱を取っていたのはスミヨン、これで今回ももしスミヨンが乗っていれば、もっと注目されていたのだろう。
替わって鞍上には
北村友一騎手。昨年は、キャリアハイとなった一昨年の90勝には及ばなかったものの、ほぼ同等の85勝を上げ、しかも重賞7勝、内GI3勝と内容は過去一番の実績を上げた。
そんな大ブレイクを遂げた北村友一騎手だが、正月競馬では2着が多く勝利を挙げられず、挙句には騎乗停止の制裁も食らい、今年まだ未勝利に終わっている。
重賞制覇のチャンスはもちろん、1月の不振脱却と、今後へ向けてのアピールも含め当然ここは力の入るところ。
人気的にもプレッシャーが掛からず乗りやすいはず、トゥルーヴィル注目してみたくなる。
美浦『聞き屋』の囁き
ジョッキー目線で見た東京新聞杯のウラ
昨年の勝ち馬はインディチャンプ、一昨年はリスグラシューと、安田記念のステップレースとしての重要度が増している東京新聞杯。
今年も目移りする豪華なメンバーが揃った。
レイエンダの主戦を務めていた
ルメール騎手は
レッドヴェイロンに騎乗。
表向きは先約がレッドヴェイロンで泣く泣くレイエンダを断ったということになっているが、実際のところはレイエンダでは勝ちを計算しにくい、ということで断っているとのこと。
というのも、能力は兄のレイデオロに匹敵するものはあるが、ムラな気性ゆえにその高い能力を安定して発揮することができないという弱点があり、実際に戦績どおり好走と凡走を繰り返しているのだ。
騎手の立場に立てばやはり勝ち負けの計算が確実に立つ方を乗りたいと思うのが当然だろう。
ルメール騎手に断られたレイエンダはノーザンファームからの依頼が増加している
丸山騎手へ。
このチャンスを生かして結果を出すことができれば次走以降もレイエンダに乗れる可能性があるので、丸山騎手の意気込みは相当なもの。
田辺騎手のエージェントに話を聞いたところ、
サトノアーサーの依頼はかなり早く年末の時点ではすでにまとまっていたというのだ。
チャンスがある馬、ということで早い時期の依頼でも受けたとのことで、早くから照準を合わせてきたサトノアーサーはおもしろいかもしれない。
GⅢの中ではハイレベルなメンバーが揃っているので、上位進出馬たちは春には侮れない存在になっているかもしれない。