来春のクラシック戦線へ、その第一歩を記す重要な一戦、
サウジアラビアロイヤルカップ(G3・東京芝1600m)。まだキャリアの浅い2歳馬たちが、東京の長い直線でその真価を問われる。完成度で押し切るのか、それとも秘めたるポテンシャルが爆発するのか。このレースを見ずして、来年のマイル王は語れない。
【有力馬分析】磨かれた原石たちの競演
◎ ゾロアストロ
この馬の末脚に、来春の主役候補の姿を重ねている。新潟1800mの未勝利戦で見せた上がり3F32.9秒という数字は、2歳馬のものとしては破格の一語。
道中は冷静に脚を溜め、直線でゴーサインが出されると、まるでワープするかのような瞬発力で他馬を置き去りにした。父は府中のマイルG1を得意としたモーリス。そして母の父はディープインパクト。
この血の配合が、府中の長い直線で爆発的な決め手を生むことは想像に難くない。名手ルメールを背に、メンバー最速の上がりでマイル王のみならず、クラシックにも名乗りを上げるだろう。無限の伸びしろを感じさせる逸材だ。
〇 チュウワカーネギー
完成度の高さならこの馬が筆頭だろう。6月の阪神マイルの新馬戦を、自らレースを作り逃げ切る強い内容で快勝。特筆すべきは、逃げ馬でありながら上がり3F33.2秒という鋭い脚を使っている点だ。
これは並の馬にできる芸当ではない。こちらも父はモーリス。仕上がりの早さとレースセンスは世代屈指と見ていい。約4ヶ月の休み明けとなるが、稽古の動きは実にパワフル。息さえ持てば、持ち前のスピードとセンスで粘り込みは必至と見る。
▲ アスクエジンバラ
札幌1800mのコスモス賞を制し、オープンクラスでの実績では最上位。福永祐一調教師が送り出す期待馬であり、その素質は誰もが認めるところだ。
リオンディーズ産駒らしいパワフルな走りは魅力だが、今回は洋芝の札幌から高速決着になりやすい府中のマイルへ舞台が変わる。瞬発力勝負への対応と、1Fの距離短縮がカギとなるだろう。
プラス材料はレースセンスの良さ。どんな競馬にも対応できそうな自在性を持っていそうで、コース替わりの課題を克服できれば上位争いは間違いない。
△ エコロアルバ
新種牡馬モズアスコット産駒の期待馬。新潟1400mの新馬戦では、後方から馬群を縫うように鋭く伸びて差し切り勝ち。一瞬の脚は目を見張るものがあった。
初のマイル戦となるが、父は安田記念の勝ち馬であり距離延長はむしろ歓迎だろう。課題はスタート。前走のように後方からの競馬になると、前が止まらない展開では届かない可能性も。展開の助けは必要だが、ハマった時の破壊力は秘めている。
【穴馬の指摘】波乱を呼ぶ快速の逃げ馬
☆ ガリレア
人気はないだろうが、この馬の非凡なスピードは軽視禁物だ。前走、新潟マイルの未勝利戦を逃げ切った際の上がり3Fは33.3秒。これは勝ち時計が同じだったチュウワカーネギーの新馬戦(上がり33.2秒)にも匹敵する優秀な数字だ。
同型は他にもいるが、この馬の二の脚の速さがあればハナを主張できる可能性は十分にある。マイペースに持ち込み、府中の直線でもう一度末脚を爆発させることができれば、大波乱の立役者となっても何ら不思議はない。
【展開予想】鍵を握るは先行争い
チュウワカーネギー、ニシノエースサマ、そして穴馬ガリレアと、前に行く馬が揃った。ペースは淀みない平均ペース、あるいはやや速めに流れると読む。
先行争いが激化すれば、当然ながら差し馬に展開は向く。東京の長い直線は、決め手を持つ馬のための舞台だ。道中でいかに脚を溜め、直線で最高のパフォーマンスを発揮できるか。騎手たちの腕の見せ所でもある。
【結論】末脚の絶対値が勝負を決める
クラシックへの登竜門。ここは素質の絶対値を信じたい。府中の直線で他馬をねじ伏せるだけの瞬発力を秘めたゾロアストロを本命に推す。完成度の高いチュウワカーネギー、素質馬アスクエジンバラが相手本線。展開利が見込めるエコロアルバ、そして一発の魅力を秘める快速馬ガリレアを押さえたい。
馬券は◎ - 〇▲△☆の馬連4点で臨みたい。