元競馬学校教官・蓑田早人の蓑田塾

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新人騎手の未来を左右する所属厩舎の決め方

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こんばんは。蓑田です。

ラジオNIKKEI賞で重賞初勝利を期待していた嶋田純次は、正直ちょっとガッカリな騎乗だったな。アサマノイタズラの能力や仕上がりがどうだったかは別にしても、大事に乗り過ぎたんじゃないかな。

スタートを出た時に、これはマズいか?と思ったんだよ。せっかくポンと出たのに馬なりで下げてしまって…。勝ち負けを意識して慎重になり過ぎたんじゃないかと思ってる。

こういうチャンスで思い切ったレースが出来れば良いんだが、技術はあるのにここまで芽が出ないままっていうのは、こういうところなんだろうな。先週は土日で他にも良い馬に乗っていたが、全く良いところなし。アサマノイタズラで緊張しっぱなしだったんだろうけど、こういうチャンスを一つ一つモノにできるかで騎手としての立ち位置が決まってくるんだよ。

さて、今回は新人騎手の所属がどうやって決まるかについて聞かれたので、少し解説してみようと思う。

まず、数としてはあまり多くないが、調教師の方から「この子を任せて欲しい」と手を挙げてくることがある。あとは、騎手の親が競馬関係者だと、その繋がりでどこどこの厩舎に預けて欲しいって言ってくることもあるな。

ただ、ほとんどの場合は競馬学校の方から厩舎に話を持っていって探すパターンだった。私も毎年東西の厩舎を回って頼み込んだもんだ。

まずは生徒に東西の雰囲気とか違いを説明した上で、美浦と栗東のどっちに行きたいかを聞くんだよ。別に、出身がどこだからとか、東西の人数を合わせるとかでこっちで勝手に割り振ってる訳ではないんだ。

それで色々と相談もした上で東西が決まったら、競馬学校の方で預かってくれる厩舎を探すって形になる。まあ、どっちに行きたいかも「親と離れたいから美浦に行きたい」って言う関西出身の子がいたり、理由は色々だったけどな。

デビューしてからは自立した騎手だから学校からあれこれ口を出すことはないが、安田厩舎と川田、矢作厩舎と瑠星のようにずっと良い関係でいることもあれば、ちょっと上手くいかないこともある。

長岡禎仁は小島茂之厩舎に行ったんだが、デビュー前に厩舎とも話し合ってこれは大丈夫だろうと感じたんだが、なぜだかデビュー後に長岡と厩舎の間で意思疎通が上手くいかなかったんだ。腕はあるし優しい子なんでこのままダメになるのは可哀相だと思っていたが、関西に行って良かったと思うよ。

今週の七夕賞では重賞初勝利のパートナーだったアールスターに騎乗。展開も向きそうだし頑張ってもらいたい。

丸山元気の日曜一番

先週のラジオNIKKEI賞をヴァイスメテオールで勝った丸山元気。アサマノイタズラもその1頭だが、有力馬に乗っていた騎手が軒並み上手く乗れなかった中で、ロスの無い最高の進路取りで突き抜けた。

丸山と言えば、1年目から2年目の変化が印象深い。勝ち星でいうと1年目は8勝で2年目は92勝だった。ここまで1年で成績が伸びる騎手はなかなかいない。

丸山はデビューした当初から上手い子だったんだが、そういう子の欠点として、調教師や厩舎スタッフの指示を聞き過ぎてしまう面があるんだ。脚を溜めろとか、とにかく前に行けとかな。

しかし、レースは生き物だから、言われたとおりに乗っててもダメなことはいくらでもある。丸山は指示に忠実すぎる面があったし、なまじ指示通りに乗れる腕があったから、なかなか実際のレースで結果が出ていなかった。

それで、そういう面が見えたので1年目の後半に電話して「もっと自分の好きなように、勝つならこうだろうって思うように乗れ。俺から見ても調教師の指示と自分の思惑とが噛み合ってないって分かるぞ」って話をしたんだ。

そしたらやっぱり「自分の感覚と違うことはたくさんあります」って言うんで、「指示通りに乗れば負けても怒られないかもしれないが、もっとレースは自分のモノだと思って、多少怒られたって勝つためにレースをしろ」って檄を飛ばしたんだ。

それで良い方向に吹っ切れてくれて、もちろんすぐにとはいかなかったが、2年目に入ってからグンと成績が伸びたんだ。最初から指示通りに綺麗に乗れる腕があったんだから、意識さえ変わればあれだけ勝っても驚くことはなかったな。

今は美浦の中堅くらいの立場だが、一番良かった頃と比べると、乗り方が変わって左右のバランスが良くないのが少し気になるな。レースでもなんかバタバタすることが多いし、元が上手いんだからもっとドシっと乗れば勝ち星もまた増えてきそうなんだが。

今週は七夕賞でカウディーリョに乗るが、これは函館記念の予定を前倒ししてきた馬で、状態がどうかな。堀厩舎でキャロットの馬なのでヤル気にはなっていると思うが。

馬券だったら新馬戦のセイウンシデンの方が期待できそうだ。1週前には丸山が乗って時計以上に迫力のある動きをしていたし、血統的にオーナーの期待も高そうな馬。こういう条件の新馬を勝つと来年のクラシックまで繋がることもあるし、ここで良い騎乗を見せてもらいたい。

日曜の騎乗一覧と評価

レース条件馬名評価
福島5R芝2000mセイウンシデンA
福島7R芝1800mウインアルカンナA
福島8Rダ1700mニシノライトニングB
福島11R芝2000mカウディーリョB
福島12Rダ1150mグランマリアージュC


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蓑田早人・プロフィール

卓越した騎乗技術を武器に、騎手として北海道などローカル開催を中心に活躍。引退するまで、日本騎手クラブ副会長を務めるなど騎手の地位向上にも尽力。その後、競馬学校の専任教官へ就任(石橋脩騎手ら第19期生より指導を担当)。川田将雅騎手、松山弘平騎手をはじめ、吉田隼人騎手、三浦皇成騎手、藤田菜七子騎手など教え子が多くいる。

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