東京大学名誉教授が射抜くワイド1点

[2020年10月31日]

【天皇賞秋】東京の長い直線、最後方からの追い込みがよく似合う

コントレイルの無敗3冠がなった翌日、イギリスのブックメーカーはさっそく来年の凱旋門賞の1番人気に祭り上げたという。現時点では、世界最強馬と見なしたわけである。事の当否はともかく、ほぼ半世紀近く競馬ファンでいる身には、感慨深いものがある。高度成長の波に乗った1970年代だったが、まだ日本の競馬は世界の一流国の仲間入りができるようなレヴェルではなかった。ところが、20世紀末頃から、事態は急変し、今や日本の競走馬のレヴェルは世界のトップクラスの域にある。長年の競馬ファンなら誰もが知っていることだが、日本の競馬は野球やサッカーよりも国際競技としてはランクが高いのだ。この天皇賞も国際競走として開放されており、賞金も高いのだが、外国馬の参戦はない。勝てる見込みがないから、わざわざ日本までやって来る外国馬はほとんどいないというわけだ。

吉祥寺の居酒屋「青夷」の常連客も、3歳クラシックとは異なる古馬最高峰レースとしての高級酒を味わうかのようだ。まして。大本命⑨アーモンドアイにはG1競走8勝の日本新記録がかかるとあって、例年にない華やかさがある。

それでも、なんとか死角を探そうと、口撃機関銃ヤマは、アーモンドアイはもうピークを過ぎたという珍説を出してきた。本命は3歳で有馬記念を制覇した①ブラストワンピースの復活に賭けるという。○対抗④ダノンキングリー、▲単穴⑨の三つ巴を主軸に馬券を組み立てるらしい。ギャンブル狂師ミノ先生は、絶対能力の高い⑨には脱帽しながらも、主戦騎手ルメールが捨てた⑥フィエールマンを拾って2頭の馬単、馬連で勝負するつもりらしい。逃げ馬好みで穴専科のマスターは渋とい③ダイワギャグニーに狙いをつけているという。なにしろ全8勝のすべてが東京コースというから、軽視すると怖い馬になる。

ところで、日本の競走馬ばかりか調教技術も大いに進歩したせいで、近年では長期休養明けの馬でも好走することが多い。5か月ぶりの⑨アーモンドアイばかりか、前走・宝塚記念の6馬身差圧勝の⑦クロノジェネシスも4か月ぶりのレース。ほかにも有力馬には長期休養明けが多い。ここは古い観方かもしれないが、やはり一回レースをたたいた馬を狙ってみたい。そこで、③ダイワギャグニーと⑧キセキが浮上する。このなかから、逃げ先行より、差し追い込みの方が決まりそうな⑧キセキに賭けてみる。東京の長い直線、最後方からの追い込みがよく似合う武豊騎乗なのも心強い。

天皇賞秋

⑧-⑨ ワイド1点で勝負する

⑦⑧⑨の3連複1点で軽く遊ぶ

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『ワイドの凌』よりひと言

昭和の「エースの錠」が拳銃を片手にのさばってから半世紀が流れた。平成を経て令和の世は馬券を片手に「ワイドの凌」でいきたい。狙い目はできるだけ少なく、基本はあくまでワイド1点勝負。ワイドは当たり馬券が3つもあるのだから、的は見えやすい。馬券は手を拡げると、あの馬も買っておけばよかったと悔やまれる。できるだけ狙い目を絞れば、そんな後悔もせずにすむ。人生は短いのだから、ストレスをかかえこまず、心ゆたかに競馬も馬券も楽しむこと。それがこの世界で長生きする秘訣である。

本村 凌二

1947年5月1日、熊本県八代市生まれ。
東京大学名誉教授。
専門は古代ローマの社会史。専門の近著に『ローマ帝国人物列伝』『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

「もし馬がいなかったら、21世紀も古代だった」という想念におそわれ書き起こした『馬の世界史』が2001年JRA馬事文化賞を受賞。その他の競馬関連の近著に『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』(中公新書)。20世紀のペンネームは本村雅人。

ハイセイコーが出走した1973年の第40回東京優駿日本ダービーから、第57回を除き、毎年東京競馬場でライブ観戦するなど、日本の競馬にも造詣が深い。
夏から秋にかけてはヨーロッパで過ごす事が多く、ダンシングブレーヴが制した、あの伝説の凱旋門賞や、タイキシャトルが勝ったジャック・ル・マロワ賞。また、シーキングザパールが日本調教馬として初めて海外GI競走を制したモーリス・ド・ギース賞などをも現地でライブ観戦している。競馬と酒をこよなく愛する、知る人ぞ知る競馬の賢人。

伝説の凱旋門賞
勝ち馬ダンシングブレーヴの他、ベーリング、シャーラスタニ他、JCにも参戦した鉄女トリプティク、そして日本ダービー馬シリウスシンボリも含め出走馬15頭中11頭がGI馬という当時としては最強のメンバーが集結したレース。そんな好メンバーの中、直線入り口最後方から全馬をまとめて差し切り勝ち、しかも当時のコースレコードのおまけ付だった。

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