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谷中公一のソコまで聞いちゃう！？［2012年1月19日対談記事］3ページ/3

谷中：何か持っていることは持っているけど、求めているものとは違うし！みたいな（笑）。

田中：ベルギーで勝ったときも、初騎乗初勝利だったから「やっぱり俺、持っているのかな？」って思いましたけど、…何か違う、と（笑）。勝つに越したことはないんですけど、ただ単にそういうのを求めて来たわけじゃないので。

谷中：そうだよね（笑）。フランスで勝った頃は、まだ葛藤の最中だったんだね。

田中：あの頃はまだ調教しか乗ってませんでしたし、まだまだメンタルも弱くて、自分をどう変えたらいいのか分かっていない時期だったので。本当に意識が変わってきたのは、9月10月頃でしたから。

谷中：どんな感じで意識が変わってきたの？

田中：そのぐらいになると、次の目標が明確に出来てくるんですよね。「次はどう乗りたい」とか、自分のしたい競馬が見えてきたんです。ベルギーのときは、そうやってある程度のビジョンを持って乗っていました。

谷中：そういうビジョンを持つのは大切だよね。

田中：今も全てを変えられているわけではないですけど、意識としてビジョンはあるので、その中で乗っていけば、理想に近づけていけると思います。

谷中：そうだよね、すぐに全部を変えることはなかなか出来ないけど、その変化のキッカケを海外でたくさん身に付けてくれば、あとは日本でも出来るからね。

田中：そうなんですよ。それが凄く良いんですよ。だから、今でも「日本にいるから海外にいたときのようには出来ない」とは思っていないし、そういうビジョンが頭の中に生まれたから、日々楽しいです。

その他にもフランスに行って、掴めたことはありますか？

田中：収穫は大きいし、いろいろあるんですけど…、言葉にするのが難しいですね。

谷中：言葉には出来ないものってあるよね。掴んだものって言っても、なかなか言葉では表せないよね。でも大きく言うと、視野が広くなったっていう感じじゃない？

田中：そうですね、固定観念が消えます。僕は結構固定観念が強い方だったんで、レースでも調教でも「こういう風に乗るのがベストなんだ」っていうのが根付いていて、考え方の狭さによる弊害が結構あったと思います。今は柔軟性のある考え方が出来るようになってきたと思いますし、客観的に自分を見ることが出来るようになりました。

谷中：世界に出るとそうなるよね。

田中：今までの自分だったら、気付かなかったことに気付くようになったり。これはデカいですね。技術うんぬんではなく、メンタル面で大きく成長が出来たと思いますし、調教や普段の生活でも変わったかなと思います。

谷中：脱皮できたなって感じだよね。それだけ海外のキツい環境を経験してきたんだから、日本に帰ってきたら、その分余裕を持てるんじゃない？じゃあ、そろそろ時間だから、最後に抱負を聞かせてもらえる？

田中：あとは結果を出すだけですね。結果を出さないといけないと分かっているんですけど、やるべきことは大体見えているので、焦りはないです。地道に、乗せていただける馬を全力で乗るだけです。

谷中：何か、帰ってきたらドシッとした感じがあるね。この武者修行の経験を生かして頑張ってもらいたいよね。ただ、俺は唯一の心残りがあるんだけど。

谷中：帰国前に「ヴィトンのお土産を買ってきて」って、連絡し忘れたことだよ！

田中：あー（笑）。今は円高で買いたい放題ですからね（笑）。

谷中：俺のヴィトンの為にも、どんどん海外にチャレンジしてよ（笑）。エッフェル塔のようにグンと成績伸ばせよ！

田中博康プロフィール

1985年12月5日生まれ。日本中央競馬会（JRA）騎手。2006年、美浦トレーニングセンターの高橋祥泰厩舎の所属騎手として騎手デビュー。初騎乗は2006年3月4日にペイルローズ(13着)。2006年3月18日にタイキエンデバーで初勝利。2011年4月から高橋祥泰厩舎を離れ、フリー騎手として活躍中。また、2011年4月から約9ヶ月間フランスに遠征していた。

谷中 公一

1965年長野県生まれ。1985年、美浦の阿部新生厩舎の所属騎手として騎手デビュー。JRA通算成績145勝（うち障害3勝）。初騎乗は1985年3月10日にヤノリュウホウ(8着)。同年6月15日イチノスキーで初勝利。現役中に騎手生活の厳しい現実を綴った著書「崖っぷちジョッキー」を発表。現在は天間昭一厩舎の助手として活躍中。同厩舎ではレッツゴーキリシマやクラウンロゼなどを担当した実績もある。またその傍らドッグガーデン「ＷＡＮだら～」経営者としても手腕を発揮している。

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