馬券ネオメソッド(レース回顧編)
安田記念の回顧
第66回安田記念
1着
ロゴタイプ
2着
モーリス
3着
フィエロ
ラップ:
12.3-11.0-11.7-12.0-12.1-11.3-10.9-11.7
時計:1.33.0
戦前からハナに行きたい馬が不在ということで、ある程度のスローは想定されていたと思いますが、まさかここまでペースが落ち着くとは。前後半の半マイルで1.0秒の後傾ラップ。逃げたロゴタイプ以外、全ての馬が引っ掛かってしまうほどの流れで、結果的には行った行ったの前残りになりました。
そしてもうひとつ。今回のロゴタイプの逃げ切りを影で演出したのが馬場状態だったと思います。今週の東京芝は、先週までとは違い、馬場の中より外が伸びる差し馬場。内ラチ沿いはノーチャンスと言ってもいいバイアスが掛かっていました。
『乾きかけの東京は内が伸びる』というのは、最近の定石的な考え方ですが、この日に関しては雨が上がった後もカラッと晴れ渡ることもなく、実際、その前の10Rまでは完全に外伸び傾向が出ていました。
その馬場傾向は、ジョッキーの頭にもあったのでしょう。モーリス以下の2番手グループはほとんどが馬場の真ん中へ持ち出し、差し比べに持ち込もうとしていました。この時点でも、『ラチ沿いの逃げ馬は止まる』という考えがあったかもしれません。ペースが落ち着いていることは承知の上で、それでも差せる感覚はあったと思います。ましてや、すぐ目の前にモーリスがいるのですから、どうしても離れたラチ沿いに対するマークは薄くなってしまいますよね。
展開の妙、そして、今回に関しては思い切ってハナを主張した田辺騎手の好判断だったと思います。毎度のことですが、勝つ時は何から何まで上手くいくものです。
個人的にこの馬は、以前はかなり相性の良い馬だったのですが、昨秋の富士Sで3着したあたりから微妙にズレが出始めていて、その後、ここまで全くギャップを修正できずに来てしまったという印象です。このレースに関しては、平坦性の強い持続力ラップが得意のはずのローエングリン産駒とは思えないラップを踏んでの逃げ切り勝ち。ちょっと私の想像力の範疇を超える結果で、もう完全に手を離れたなと。
2着モーリスに関しては、引っ掛かりながらも懸命に抑えて、直線のコース取りもこの日のトラックバイアスを考えれば最善のものだったと思います。ただ、それで伸び負けは少し物足りない内容ですね。逃げたロゴタイプよりも上がりが出せていません。
今日の競馬を見て、「ひょっとして左回りはイマイチなのかな?」と思いました。昨年の安田記念も、やはりその能力からすれば詰め寄られた印象は強いですし、かつて京王杯SCでも凡走しています。
絶対能力が高い分、そう目立ちませんが、ひょっとしたらそこにキズがあるのかなと。ちょうど、グラスワンダーがそうでしたよね。別に左回りでサッパリ走らないわけではない。でも、微妙にパフォーマンスを落とす。あの馬もそんな個性の持ち主でした。そう、モーリスはグラスワンダーの血を引くスクリーンヒーローの仔。隔世遺伝的にグラスワンダーの特性を引き継いでいるのかもしれません。これはオカルトのレベルではなく、血統的な考え方として成立するような気がしています。今後の指針として覚えておきます。
◎に期待したクラレントは結果的に何もできずに惨敗。少し消化不良ですね。結果的には逃げとけばよかったんじゃないかと思ってしまうところですが、私も逃げる作戦がベストだとは考えていませんでしたし、主張されてなお突っ張るほどハナにこだわらならないという作戦は仕方なかったと思います。
それにしても、道中で引っ掛かるのを抑えたところで、この馬が使える脚はだいたい知れているわけですからねぇ……。このポイントは今までも何度か書かせてもらっていますが、外で見ている者と乗っている者の考え方の違いなんですよね。溜めても切れないなら、ガンガン早めに踏んでしまえというのが、外で見ている者の感覚で、溜めても切れないなら、もっと溜めなきゃダメだと思うのが乗り手の感覚、だそうです。
宝塚記念を残してはいますが、一応、これで春のGⅠシリーズも終了。NHKマイルCで良い本命が打てたほかは、散々な予想をしてしまいました。結果は別として納得できるもの、納得できないものとそれぞれありますが、反省点は山ほどあるので、夏競馬の間に修正するつもりです。ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんが、また今後もお付き合いいただければ幸いです。
待望の新刊!境和樹の【単複論! 実践編】 絶賛発売中!
『単複論!実践編』の購入はコチラ
▼境和樹への応援メッセージはコチラ▼
Mail:cheer@umasq.jp