馬券ネオメソッド(レース回顧編)
根岸S・シルクロードSの回顧
第34回根岸S(GⅢ)
1着
モズアスコット
2着
コパノキッキング
3着
スマートアヴァロン
ラップ:
12.5-10.9-11.6-12.3-11.9-11.6-11.9
時計:1.22.7
上位2頭の強さが際立ったレースだと思います。
日曜東京ダートの馬場差は+0.9秒と時計の掛かる馬場。それを考慮すると1.22.7秒という決着時計は極めて優秀。昨年が馬場差+1.4秒で1.23.5秒でしたから、昨年と比較しても馬場差を差し引くと0.3秒速い時計で決着したことになります。
まずは勝ったコパノキッキング。昨年が56キロ、今年が58キロということを考えれば、昨年より(馬場差考慮で)速い時計で走破しているのですから、これで負けるなら納得というもの。
ポイントは真ん中の12.3秒という箇所にあって、ここでモズアスコットに無理せず差を詰められたところが直接的な敗因。
前半で速く、中で緩んでラストでまた速くなるという形は、基本的に差し馬有利。先行馬は序盤で脚を使い、ラストでまた加速することが求められるところ、差し馬は序盤の速い部分で消耗が少なく、ラップが緩んだところで無理することなく前との物理的な差を詰めることが叶う。ラストで脚比べに持ち込めば、序盤の貯金の分で前を捕まえられるという構図ですね。
もっとも、この形でゴール寸前まで粘るわけですから、改めて高い性能は見せてくれました。この後、使うレースが難しいような気がしますが、ダート短距離なら現役最強はこの馬でしょう。
勝ったモズアスコットは、初ダートで重賞制覇。出遅れをリカバーする脚が抜群に速く、この時点でダート適性を感じさせましたが、最後は11.9-11.6-11.9秒という芝並の瞬発力ラップになったことで、安田記念勝ちの実績がモノを言いました。
稽古駆けする母父ヘネシーというところに、秘めるダート適性を見出す見解もあったかと思いますが、基本的には馬自身が持つ適性なんでしょうね。フランケル産駒は、ダート勝ち馬も出してはいますが、基本的にはやはり芝向きだと思うので。
ちなみに、これは完全に余談ですが、こういうレースを見るたびに思い出すのが01年の武蔵野Sでクロフネの2着したイーグルカフェ。1.33.3秒という驚異的なレベルの時計勝負になった際、2着に突っ込んできたあの馬です。芝でGⅠを勝っていた馬は、ダートのハイレベル決着で顔を出すケースが結構多いんですよね。
敗れた組からは、4着ワイドファラオを。
このレースに関しては、強い2着馬を負かしに行く競馬でラスト失速も、掲示板死守ならメドは立ったと見ていいかなと。GⅠでは厳しいですが、1400以下のGⅢならチャンスがありそうです。
直線スピードが問われるレースで、昨年の勝ち馬コパノキッキングが着順を下げるという結果ではあったものの、勝ち馬のパターンを2つ満たさない馬に勝たれてしまっては、予想としては完敗を認めざるを得ません。無念です。
第25回シルクロードS(GⅢ)
1着
アウィルアウェイ
2着
エイティーンガール
3着
ナランフレグ
ラップ:
12.2-10.8-10.9-11.1-11.5-12.5
時計:1.09.0
この日の京都芝の馬場差は+0.8秒。それを考えるとほぼ標準的な時計での決着でした。
土曜日から、京都芝は外差し優勢の傾向が出ており、内ラチ沿いはだいぶ勢力が衰えていました。日曜日になってもその傾向は止まらず、このレースも見事なまでの外差し決着。
この馬場設定でも自分の形を守り、寸前まで粘ってみせたモズスーパーフレアは、改めて高いスプリント性能を証明する競馬だったと思いますが、いかんせん、今の馬場では厳しすぎます。また、この馬自身、中山、さらに高速馬場の適性が高い馬だけに、余計、今の京都は苦しかったでしょう。だからこそ、繰り返しになりますが改めて能力の高さを見せたと考えるべきです。
勝ったアウィルアウェイは、スタートで若干の出遅れ。ただ、この日の馬場設定を考えると怪我の功名というか、ちょうどいい位置取りに収まることができたと思います。後述しますが、ジョイフルの1頭分内を走れたことも、最後の伸びに繋がっています。
前走が4角手前で前を走る馬が故障したアオリを受ける消化不良の競馬。スムーズならこれくらい走れるということでしょう。ちなみに、シルクロードSがハンデ戦になって以降、馬番8番は【3-3-2-10/18】勝率16.7%、連対率33.3%というラッキーナンバーでもありました。昨年は、この枠に入ったエスティタートが11人気2着。
2着エイティーンガールは、直線で少し前が狭くなるシーンが勿体無かったと思いますが、右回りの1200mでは実に堅実。前走も目の覚めるような末脚を使っており、本格化の兆しはありました。
惜しかった、本当に惜しかったのは3着ナランフレグ。外差し馬場だったことを差し引いても、最後の末脚は強烈でした。この馬は重賞はおろかGⅠでも足りるスプリント性能を持っています。前走の浜松Sも、ちょっと驚異的な勝ちっぷりでした。
しかし、この馬は、兄に東京・新潟で活躍したインプレスウィナーがいる母系出身で、典型的なサウスポー。右回りだとどうしても間に合わない競馬になってしまいます。
そんな個性だけに、何としても高松宮記念に出たかったところでしょう。前走が示す通り、中京芝1200はこの馬にとって絶好の舞台設定ですから。
それが、今回の3着で賞金加算できなかったことで、ほぼ夢と消えてしまった様子。これは本当に残念。馬券云々は置いておいても、大舞台でどんな競馬をするか見てみたかった。おそらく、アイビスSDあたりに出て鬱憤を晴らす快走を見せるんじゃないでしょうか。
期待したジョイフルは伸び負けの格好で7着止まり。展開、馬場ともにマッチしていたことは、他馬の走りを見れば明らかなわけで、これは力負けを認めなければいけません。ただ、道中で外々を回りダラダラと距離損を強いられてしまったことも痛かったと思います。前走の内容は良かったと思うので、もう少し走れていい馬だという評価に変わりはありません。
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