馬券ネオメソッド(レース回顧編)
フェブラリーSその他の回顧
第37回フェブラリーS(GⅠ)
1着
モズアスコット
2着
ケイティブレイブ
3着
サンライズノヴァ
ラップ:
12.5-10.9-11.2-11.8-12.3-12.2-11.9-12.4
時計:1.35.2
半マイル46.4-48.8秒ですから。2.4秒の前傾戦。昨年が異例の後傾ラップだっただけで、今年がフェブラリーステークスのデフォルトといっていい流れ。これで差し馬が台頭するというパターンも同じで、改めて、昨年がいかに異質なフェブラリーステークスだったか思い知らされます。
それにしてもモズアスコットは強かったですね。砂を被っても何ら問題なく、馬群を割って伸びてくる際の脚の回転が他馬とは段違いでした。あくまで芝、ダート兼用の馬であって、決してダートの方が良いということはないと思っていますが、今日のところは1頭だけ力が違うといった内容だったと思います。
2着ケイティブレイブは完全にエアポケットに入った存在でしたね。終わってみれば誰しもが思ったであろう、「この馬が最低人気はないでしょう」という存在。中央より地方での実績が秀でている、マイルが忙しいのではないか? など、懸念があったことは確かですが、上位人気を形成していても不思議ではない実績は持っていました。
レース振りも、外枠ながらコースロスを最小限に抑え、直線で外に持ち出してからもシッカリ脚を使って勝ち馬に詰め寄っています。決してフロックではできない走りでした。
3着サンライズノヴァは、今年唯一のゴールドアリュール産駒。改めてこの血統のフェブラリーステークス適性を見せてくれました。
ただ、ここで控える競馬に戻しますか……。この作戦は読めませんでした。近2走の内容から脚質に幅が出て流れに応じて勝利に一番近い位置を取れると思っていたのですが、どうもそうではなかったようです。
惜しかったのは5着タイムフライヤー。この流れでも序盤でだいぶ行きたがっていましたね。これは1400、あるいは1200とか使ってみても面白いかもしれません。狙えるレースが少ないのがネックですが、いずれも中央場所なら芝スタートですし、この馬の持ち味は短距離で活きると思います。
インティはどうしたことでしょう? 昨年の前半3Fが12.4-11.5-11.9秒だったのに対し、今年は12.5-10.9-11.2秒。確かに楽に行けるペースでなかったことは確かですが、それにしてもスタート直後から全く元気がありませんでした。能力や適性ではなく、気性的な難しさが出てしまった印象。父ケイムホームということから、そんな想像も現実味を帯びてきます。
第54回小倉大賞典(GⅢ)
1着
カデナ
2着
ドゥオーモ
3着
ジナンボー
ラップ:
12.2-11.6-12.2-12.2-12.1-12.1-12.0-11.9-12.0
時計:1.48.3
上記ラップ推移が示す通り、究極の持続戦となった今年の小倉大賞典。
明暗を分けたのはちょうど5F通過地点。2着ドゥオーモが勝負処と見て外からポジションを押し上げたのに対し、勝ったカデナは、内ラチ沿いで前を走るレイホーロマンスが壁になる格好で動き出せず。
ただ、結果的にはドゥオーモが外を回りながらダラダラと脚を使い続けたのに対し、カデナは4角でようやくスパートした格好。つまり、この持続戦において、ほとんど1頭だけ瞬発力を発揮する競馬をしたのが勝ったカデナというわけです。持ち味の決め手を存分に活かして久々の重賞制覇となりました。
非常に惜しかったのは2着ドゥオーモ。この持続戦にあって、外を回りながらゴールまで脚を使い続ける形で2着は立派。しかも、断然人気のヴェロックスに堂々と戦いを挑む形ですから、これは称賛に値します。この結果から改めて高い小回り適性が証明された格好。これから斤量を増してどうなるかといったところですが、適性がハッキリ分かったことは収穫です。
ヴェロックスは、おそらくもっと緩急のある流れの方が向いているんでしょう。状態、ハンデや馬場など敗因は色々あるのでしょうが、今日の流れではあまり力を発揮できないようです。
人気薄を含みディープ産駒が1~3着を独占。
今年は、例年と異なる施行時期だったことから、予想スタンスを少し修正することにしましたが、結果的にはそれが裏目に出てしまいました。本来、小倉大賞典は人気薄のディープ産駒が頻繁に来るレース。
さすがに2週目と6週目で同じ傾向は使いにくいと思いましたが、シンプルなところに答えが眠っていたとは……。残念です。
第55回京都牝馬S(GⅢ)
1着
サウンドキアラ
2着
プールヴィル
3着
メイショウグロッケ
ラップ:
12.5-11.8-11.7-12.4-11.5-11.4-11.9
時計:1.23.2
今週の京都芝は、徹底した外有利の設定となっており、馬場の真ん中より内にいた馬はほとんどノーチャンスといった状況。
それを考えれば、先行策から一旦先頭の食い下がりを見せた2着プールヴィルは強い競馬をしていたと思います。昨年のこの時期、紅梅Sで2着と健闘した時も、やはり力のいる馬場でしたから、こういう馬場に対する適性が高いということでしょう。もちろん、これで芝1400は【3-4-0-0】。高い距離適性も見逃せません。
勝ったサウンドキアラは、確かに外優勢の馬場設定に乗ったところはありますが、それを差し引いても全く危なげない横綱相撲で重賞連勝。いよいよ本格化してきた印象です。安田記念よりはヴィクトリアマイル向き、距離ズレした馬が走りやすいマイルCSも面白いですね。いずれにしても、GⅠ戦線でも侮れない存在になりそうです。
メイショウグロッケは、道悪でメイショウサムソンの血が活きた(年明けの愛知杯も、やはり道悪で行われメイショウサムソン産駒の9人気デンコウアンジュが勝ちましたね)格好ですが、見逃せないのが……そうです、母父マンハッタンカフェ。
予想コラムでも指摘した通り、京都芝1400重賞に滅法強いこの血統。ついに母父に入っても好走例を出しました。脱帽です。今後もこの条件で見つけたら即チェックをお勧めします。
期待したアマルフィコーストは、そのメイショウグロッケに僅かに及ばず4着まで。何とも残念な結果でしたが、直線入り口で勝ち馬にアッサリ交わされ、ズルズル後退するかと思いきや、そこから再びエンジンを掛けてゴール前猛追という、これまでにないレース振りを見せてくれました。馬券的には残念でしたが、改めて極めて高い荒れ馬場適性を証明した一戦。今後も開催後半に登場してきた際は要注意です。
案外だったのが、ビーチサンバ、シゲルピンクダイヤといったクラシック組と、上がり馬ドナウデルタの3頭。ビーチサンバは内枠+スタート一息、ドナウデルタもスタートがイマイチで、直線はモタれるような面を見せて外ラチ沿いを走らされる大きなコースロスがありました。この2頭に関しては、まだ情状酌量の余地があったと思います。
ただ、シゲルピンクダイヤはいただけません。ペース的にそう厳しいものではありませんでしたし、渋った馬場を苦にしたという感じもありません。おそらく気難しさを出したのでしょう。道中で完全に前進気勢を欠いていました。前走のターコイズSが負けて強しの内容だっただけに、こういう淡泊な負け方をされてしまうと、今後、評価が難しくなりますね。
第70回ダイヤモンドS(GⅢ)
1着
ミライヘノツバサ
2着
メイショウテンゲン
3着
オセアグレイト
ラップ:
13.2-12.0-12.1-12.6-12.7-12.5-12.5-12.4-12.3-11.7-12.1-12.3-12.2-12.5-12.4-12.7-13.0
時計:3.31.2
最低人気のミライヘノツバサが勝利。
かつてはシャケトラと3/4馬身差の2着など重賞好走実績はあるものの、さすがに近走内容から「もう終わった」と判断するのが妥当な馬。3400という超特殊距離がもたらした大波乱ということでしょう。
ちなみに、これまでフルゲート16頭立てで行われたダイヤモンドステークスでは、4回連続で16番枠の馬が馬券に絡んでいました(16年2人気2着フェイムゲーム、15年1人気1着フェイムゲーム、13年6人気3着メイショウカドマツ、12年1人気2着ギュスターヴクライ)。比較的人気馬が入ることが多かったので、そこまで気にしていませんでしたが、今回の結果を呼んだ要因を考えても、このくらいしか思い浮かびません。今後も、ダイヤモンドステークスフルゲートで行われた際は、16番枠の馬を無条件に警戒しておきましょう(苦笑)。
2着メイショウテンゲンは、ディープ産駒ながら速い上がりが全く使えない、いわゆるB級ディープで、こういう特殊条件でスタミナを求められる競馬が合っているということでしょう。とはいえ、どうしても序盤で位置が取れない馬なので、これ以上相手が強くなると厳しいと思います。
なお、この結果を受けて、ダイヤモンドステークスにおけるディープインパクト産駒の成績は【0-2-3-9】。B級ディープであればソコソコ来るものの、勝ち切るのは難儀と言えるでしょう。
3着オセアグレイトは、差し馬優勢(強風の影響もあったと考えられます)の中で先行馬最先着ですから、評価を下げる必要は全くありません。
7着タガノディアマンテは、いくら何でもその位置取りでは……という競馬。おそらく気性的な問題が大きいのだと思います。ツボに嵌れば前走のようなパフォーマンスを叩ける反面、安定して走れるタイプでもありません。今後も取り扱いには要注意。
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