馬券ネオメソッド(レース回顧編)
フィリーズRなど4重賞の回顧
第54回フィリーズレビュー(GⅡ)
1着
エーポス
2着
ヤマカツマーメイド
3着
ナイントゥファイブ
ラップ:
12.0-10.4-11.0-11.6-11.5-12.0-12.5
時計:1.21.0
ラップ推移が示す通り、いかにもフィリーズレビューらしい前傾失速戦になりました。また、今週の阪神芝は内ラチ沿いで我慢した差し馬がそのままインを突いて台頭するケースが目立っており、そういった流れとトラックバイアスを最大限に活かしたのが、勝ったエーポスでした。
スタートで少しだけ遅れを取りながら、上手くリカバーして内の好位置をキープ。4角手前で軽く気合を付けられると、直線は狭いところを割ってグイグイと伸びてくれました。
個人的にも会心の予想ができました。良かった!
本命推奨の根拠は、母母父のフェアリーキング。スタミナと持続力が問われる前傾失速戦で、その欧州性が活きました。
また、エーポスに関しては、やはり前走のエルフィンSの評価が最大のキーポイント。そもそもエルフィンSは、レース史上に残るハイレベルレースだったわけですが、その中でも、別格だった勝ち馬の次に評価できる内容だったのが、外差し馬場とミスマッチの競馬で先行馬最先着を果たしたこの馬でした。今回、それが証明されたわけです。
このことから、エルフィンステークス勝ちのデアリングタクトの評価はさらに高まることでしょう。これまで、騙される(?)ことも多かったエルフィンS勝ち馬ですが、今年は違うと思います。桜花賞戴冠の最短距離にいるのは、このデアリングタクトです。
上位4頭に関しては、いずれも馬場を味方に付けて能力を最大限に出していると思います。桜花賞に繋がるかどうかは別として(ただ、この流れを経験できたことは、対レシステンシアという点では貴重だとは思います)、そこまで低いレベルのレースではなかったと見ています。
人気を裏切った組では、9着アヌラーダプラ。今の阪神で外枠から直線外出しではノーチャンス。また、本質的にもっと軽い馬場の方が合っているタイプでしょう。ここ2戦は力を出し切れない条件で走っている印象があるので、良馬場の東京あたりで見直すタイミングがありそうです。
第56回金鯱賞(GⅡ)
1着
サートゥルナーリア
2着
サトノソルタス
3着
ダイワキャグニー
ラップ:
12.9-11.8-13.2-13.0-12.7-12.4-11.8-11.2-11.1-11.5
時計:2.01.6
ここでは役者が違うと言わんばかりの横綱相撲でサートゥルナーリアが勝利。
この馬が得意とする高速上がりの競馬になったことで、より盤石になったという印象。イメージ的には神戸新聞杯に近いイメージ。そもそも、今年のメンバーはお世辞にもGⅠ級のライバルがいるとは言えない状況。これまで不思議と左回りで結果を出せていませんでしたが、走法的に特に回りを気にしている様子はありませんでしたし、おそらく別のところに要因があったのでしょう。この先に向けて、まずは良い形で始動戦を終えたといったところでしょう。
2着サトノソルタスは、前走の中日新聞杯が直線でスムーズさを欠いて脚を余した消化不良の内容でしたから、同じ舞台で雪辱が叶ったことは良かったですね。普通なら勝っていたはずで、今日は相手が悪すぎました。
ハナを切って緩ペースに落としたダイワキャグニーが3着。前残りが頻発したこの日の中京。トラックバイアスが味方してくれたことも大きかったですね。
ギベオンは、福永騎手がこれ以上ないくらいソツなく立ち回っていましたが、直線ではそれが仇になるという皮肉な結果。直線半ばまで身動きが取れず完全に脚を余してしまいました。内有利のトラックバイアスも出ていただけに、この乗り方自体は責められないだけに、運がなかったですね。
連勝が止まってしまったロードマイウェイですが、スタートで若干遅れて、その後に挟まれるロスもあり1角の入りで後方2番手。今日の流れと馬場を考えると、この時点でノーチャンスでした。参考外の一戦と見ていいと思います。立て直せばまた活躍してくれるはずです。
第38回中山牝馬S(GⅢ)
1着
フェアリーポルカ
2着
リュヌルージュ
3着
エスポワール
ラップ:
12.7-12.0-12.3-12.0-11.8-11.6-12.2-12.3-13.3
時計:1.50.2
季節外れの雪が降る中で行われた今年の中山牝馬ステークス。VTR越しでも馬の判別に手間取るほどで、実際に騎乗したジョッキーの皆さんもさぞ怖い思いをしたことでしょう。スタートから、あまり馬群を作ろうとせず、エスポワールのデムーロ騎手あたりは、スタート早々から外目へ。これは、馬場の悪いところを避けるというより、視界不良の状況で馬群に入れるリスクを回避するための戦略だったのではないかと感じました。ひとまず無事にレースが終わって良かったです。
そんな中でも、やはり存在感を見せたのはキングマンボの血でした。勝ったのは同系統ルーラーシップ産駒のフェアリーポルカ。
スタートからゴールまで終始楽な手応えに基づく完璧な立ち回り。終いの伸びも際立っていました。血統適性があったことはもちろん、この馬自体、阪神や中山といった力のいる芝が合うのでしょう。このレースに関しては全ての面がこの馬に味方しました。
来年も、中山牝馬ステークスはキングマンボ系保持馬を狙いましょう!
2着リュヌルージュは、軽量とはいえ、差し馬が上位を独占する中、先行勢で唯一食い下がっての2着は評価できるもの。父モンテロッソは5歳時にドバイワールドカップを勝った馬で、比較的晩成の気が強いタイプ。母父メジロマックイーンとの配合なら、この馬も5歳牝馬ながらこれからもう一段階良くなってくる可能性を残していると思います。適性はコーナー4つの舞台。
3着エスポワールは、やはりこの異質の状況で人気を背負ってしまう立場は堪えたでしょうね。力は見せていると思います。前日から一転して内有利の馬場になった秋華賞こそ、外枠の不利が祟って大敗に終わりましたが、牝馬同士なら重賞はおろかGⅠでも太刀打ちできるレベルの馬だと思っています。
兄タブレット、姉イサベル、兄アドミラブルと、いずれも溢れんばかりの素質を秘めながら、ついにそれを開花させることなくターフを去ってしまっている、ある意味で悲運の母系。何とかこの馬には大きなタイトルを獲ってもらいたいものです。
2番人気コントラチェックは、まさかのシンガリ負け。この雪で色々とあったようですが、軽量の同型馬がいる組み合わせ、逃げ馬がどちらかと言えば差し馬向きの馬場設定から、戦前の段階でかなり苦しい立場だったことは否めません。
フラワーカップにしろ、前走のターコイズステークスにしろ、ツボに嵌った際にはとんでもないパフォーマンスを出す反面、自分のリズムで走れないと別馬のような脆さを見せる天才肌。この手のタイプは、条件を慎重に見極めれば、近走成績を度外視できると思います。少なくともこの一戦で見限る必要はないでしょう。
第34回ファルコンS(GⅢ)
1着
シャインガーネット
2着
ラウダシオン
3着
ヴェスターヴァルト
ラップ:
12.1-10.7-11.0-11.7-12.1-11.5-12.2
時計:1.21.3
先週時点から降雨の影響を受けて相当時計が掛かっていた中京芝コース。今週、再び雨をもらったことで、この日の馬場差は+1.3秒。軒並み基準タイムを大きく下回る競馬が続きました。
その中で、このレースは1.21.3秒の決着。これはちょっとビックリの好時計。
前半3Fが12.1-10.7-11.0秒で33.8秒。これ自体はデンタルバルーンが大逃げ気味に飛ばした数字なので、額面をそのまま受け取るわけにはいきませんが、それを差し引いても、重賞勝ち馬で、GⅠ朝日杯FSでも見せ場アリの7着と善戦したビアンフェが簡単に止まってしまう流れ。好位~差し馬にはお誂え向きの展開になりました。
勝ったシャインガーネットは、好位馬群でジッと脚を溜め、直線入り口で2着馬を目標に外へ切り替え、手応え通りの伸び脚で快勝。
現役であれば、現2勝クラスのバレーロ、過去にはローブデソワ(OP2着)、チェスナットバロン(3勝クラス)、アドマイヤサガス(OP勝ち)など、ダート戦で活躍した馬が多数いるパワー型母系。雨の影響を受けて重たくなった馬場を、ダート的な馬力で克服、パフォーマンスアップに繋げたということでしょう。この勝利で機会は遠のいたと思いますが、オルフェーヴル産駒ということも含めてダートでの走りを見てみたい馬ですね。もちろん、今後も渋化馬場なら評価を上げる必要があります。
2着ラウダシオンは、数字だけ見ると上位入線馬の中で最も前目で競馬をしており、流れを考えると強い競馬をしているように見えますが、実際は一度も先頭に立っておらず、勝ち馬にもほとんど抵抗できていません。先述の通り、時計的には価値のあるレースなので評価下げとまでは言いませんが、ちょっと今後の展望が難しくなる敗戦だったように思います。
この速い前半でも少し行きたがる面を見せたくらいですから、距離的にはもっと短くてもいいでしょう。父リアルインパクトからダート替わりはあまり賛成できないので、理想は道悪の1200といったところでしょうか。
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